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おなかが張って痛くなるのはどうしてですか?おならと関係する?

 腸内にたまるガス、いわゆる「おなら」が原因でお腹が痛くなることがあります。おなら自体は体にとって正常な排泄現象のひとつですが、量や発生するタイミングによっては腸壁を過度に刺激し、痛みを引き起こす場合があるのです。そこで、おならが腹痛をもたらす仕組みを、やや専門的な観点も交えながら分かりやすく解説していきます。

 人が食事をするとき、空気を一緒に飲み込んだり、炭酸飲料を摂取したりすることで、胃から腸へとガスが移動していくことがあります。また、腸内には多数の細菌が生息しており、これらの細菌が食物繊維などの消化しにくい成分を分解する際にガスを発生させます。生成されるガスの主成分は二酸化炭素(CO₂)や水素(H₂)、メタン(CH₄)などですが、その組成や総量は食生活や腸内細菌のバランスによって変化するため、人によって大きな差が生じます。

 さて、腸内にガスがたまりすぎると、腸管の内側から壁が押し広げられ、いわゆる「腹部膨満感」が生じることがあります。腸壁には伸展や圧力を察知するセンサー(機械受容器)が分布しており、過度な伸展や圧力上昇が起きると「痛み」として脳へ信号が送られます。これがガスによる腹痛の基本的な仕組みです。さらに、腸壁が大きく引き伸ばされると腸管の運動にも影響を与え、局所的に強い収縮やけいれんが起こることがあります。こうした収縮が痛みを増幅させ、場合によっては刺すような痛みやキリキリとした不快感を生じさせるのです。

 とくに、過敏性腸症候群(IBS)と診断された方は、腸の神経が過度に敏感な傾向があるため、少量のガスでも強い痛みを感じやすいとされています。腸の内壁には多くの神経が走っていますが、IBSの方はストレスや食生活の変化などに敏感で、わずかな刺激が痛みのシグナルとしてとらえられやすいと言われています。たとえ日常的なガス発生量でも、腸管が過敏に反応すると激しい痛みにつながりやすいのです。

 また、腸内細菌のバランスが崩れると、ガスの発生量やガスの種類にも変化が生じます。たとえば、ストレスの増大や抗生物質の服用、食生活の乱れなどが原因で腸内細菌叢が乱れると、普段よりも多くガスを生成する菌が増えたり、腸管でのガス排出がうまくいかなくなったりします。腸内環境が整っていない状態が長く続くと、慢性的にガスがたまりやすくなり、結果として腹痛が発生しやすい状態が続いてしまうのです。

 一方、おならとしてガスが排出されるまでには、消化管の中を移動しながらいくつかのステップを踏みます。小腸から大腸へと移動し、最後に直腸まで届いて肛門から排出されるわけですが、この通過ルートのどこかで通りが悪くなると、ガスがそこで滞留しやすくなります。たとえば、便秘が続いて大腸内に内容物が詰まっていると、ガスの抜け道が狭まり、腸管内部の圧力がより高まります。その結果、腸壁が強く広がり、痛みが増幅することにつながります。

 さらに、食生活の内容や食べ方そのものも影響を及ぼします。急いで食べたり、食事中に大量の空気を飲み込むような食べ方をしていると、一度に多くのガスが腸へと流れ込む可能性が高まります。炭酸飲料を頻繁に摂取する習慣がある場合も同様です。また、食物繊維が豊富な食品やオリゴ糖、糖アルコールを含む食品を一度にたくさん摂取すると、腸内細菌による発酵が活発になり、ガスの生成量が急激に増えることがあります。もちろん、食物繊維の摂取は腸内環境を整えるために大切ですが、体が慣れていない段階で急に多量に取り入れると、腹痛や下痢の原因となるケースもあるのです。

 このように、おならが腹痛を引き起こす理由は多岐にわたりますが、その主な要因をまとめると「腸管内にガスが過剰にたまることで起こる物理的な刺激」「ガスによる腸管の過度な収縮」「腸内細菌バランスの乱れ」が大きく関与しているといえます。普段からお腹の張りや痛みを感じやすい方は、まず食事の内容を見直し、ゆっくり噛んで食べることや炭酸飲料の摂取量を控えるといった工夫を試してみるとよいでしょう。また、適度な運動やストレスの軽減を図ることも、腸内環境の改善に役立ちます。

 もし日常的な対策を講じても腹痛や張りが治まらない場合は、医療機関を受診して原因を詳しく調べるのが賢明です。腸内環境の検査や食事指導など、専門家の助けを借りることで、症状の軽減や根本的な対策につなげられる可能性があります。総じて、おならによる腹痛は、腸内でのガス発生と排出のバランスが崩れた結果生じるものであり、その根底には生活習慣や腸内細菌叢の状態などが深く関与していると言えるでしょう。こうした要因を総合的に見直すことで、ガスが原因の腹痛を和らげる道が開けていくはずです。

 

おならの回数は何回以上で異常でしょうか?

 おならの回数は個人差が大きく、一概に「何回以上なら異常」と決めつけるのは難しいところです。一般的な目安としては、1日におよそ10回から20回ほどの放屁が生理的な範囲内といわれています。しかし、体質や食事内容、生活習慣などによって、1日に25回程度になる人もいれば、5回ほどしか出ないという人も存在します。したがって、放屁回数だけで正常か異常かを判断するのは厳密には難しいと考えられます。

 とはいえ、もし1日に30回を超えるような頻度で放屁が続いている場合や、強いにおいが伴う、下痢や便秘を繰り返す、あるいは腹痛が慢性的に続くなど、他の気になる症状が見られるようであれば、腸内環境が乱れている可能性や過敏性腸症候群(IBS)などが疑われる場合があります。こうした場合には、まずは食生活や食べ方を見直してみるのが第一歩です。たとえば、炭酸飲料を減らす、よく噛んでゆっくり食べる、食物繊維や発酵食品を適度に取り入れるなどの工夫で症状が改善することもあります。また、生活習慣の乱れやストレスが腸内環境に影響を及ぼすケースも少なくありませんので、適度な運動や十分な休養を確保することも大切です。

 もし自己対策を試みても回数が極端に多い状態が続いたり、腹痛などの不快な症状がまったく改善されないようであれば、医療機関を受診して専門家に相談することを検討してみるとよいでしょう。検査やカウンセリングによって、腸の働きや腸内細菌の状態を詳しく調べることができますので、原因の特定や適切な治療・食事指導につながる可能性があります。結果として、おならをはじめとするさまざまな腸の不調が軽減できるかもしれません。以上を踏まえて、放屁回数はあくまでも参考情報ととらえ、気になる症状がある場合は早めの対処や受診が望ましいといえます。

 

ここでは、おならにまつわることを分かりやすくまとめてみました。

  1. おならの速度は意外に速い

 おならが体外に放出されるときのガスの流速は、推定とはいえ時速10キロ前後(1秒に3メートルほど)という話があります。ふだんは「プッ」という音だけで終わってしまいがちな現象ですが、数字に変換してみると意外に速いと感じる方も少なくないでしょう。

 

  1. 音の高さや大きさを左右するもの

 おならの音は、肛門括約筋の締まり具合やガスが通る経路の形状、それにガスが詰まっているときの圧力などが複雑に影響して変化します。筋肉がかたく締まっている状態だと、高めの音が鳴りやすく、ゆるんでいると低めで大きめの音が出やすいのです。普段なかなか意識することはありませんが、こうしたメカニズムを知るとちょっとしたトリビアとして楽しめるかもしれません。

 

  1. 実は99%以上が無臭ガス

 おならの成分のほとんどは、窒素・二酸化炭素・水素・メタンなど、においのないガスで構成されています。私たちが「クサい」と感じる原因は、残り1%ほどに含まれる硫化水素などの含硫化合物です。言い換えれば、少量の“におい成分”が、全体の印象を大きく左右しているというわけです。

 

  1. おならに火がつく可能性はあるの?

おならのガスには、水素やメタンといった可燃性の要素が含まれています。理論的には、ライターなどの火を近づければ燃えることもあり得るわけです。ただし、実際に試すとやけどや服の焦げなどの事故につながるリスクがあるため、面白半分の実験はおすすめできません。

 

  1. 宇宙空間では危険度が増すことも

 地球上ではちょっとした笑い話で済むおならも、宇宙では無視できない要素になりかねません。狭い船内でガスが拡散しにくい上に、機器類が多く集まっている環境では、燃えやすいガスの存在は潜在的リスクのひとつです。実際に大問題を起こす可能性は低いとはいえ、宇宙飛行士たちは船内の気体を管理し、快適かつ安全に過ごせるように配慮を怠らないようにしています。

こうして見ると、おならは単なる生理現象のようでいて、実は可燃性や宇宙での安全管理など、多方面にわたる影響や意外性を秘めています。

 

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