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ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)の感染検査はした方がいいのですか?

ヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)の感染検査がなぜ重要なのか、その科学的な根拠をご説明いたします。H. pylori菌は主に胃の粘膜に感染し、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの原因として知られています。さらに、近年の研究で胃がんのリスク因子としても注目されており、感染の有無を確認し、適切な治療を受けることが強く推奨されています。

  1. H. pylori菌の感染状況と感染経路

pylori菌は、幼少期に主に口から口への接触や糞口感染を通じて、家族内や地域社会で広がるとされています。感染率は地域によって異なりますが、日本では高齢者の感染率が高く、若年層でも一定の感染が報告されています。この菌は胃内での生存に特化しており、一度感染すると長期間体内に留まる可能性があります。

  1. H. pylori感染と胃がんのリスク

pylori菌への感染は、胃がん発症のリスクと深く関わっています。国際がん研究機関は、この菌を「グループ1の発がん因子」と分類しており、胃がんの明確な原因となり得るとしています。感染者の中には、慢性胃炎や萎縮性胃炎などの炎症を経て、胃がんに進行するケースも少なくありません。日本での研究では、H. pylori菌の除菌治療を受けた人は、治療を受けなかった人に比べて胃がんの発症率が有意に低下したとの報告があります。

また、H. pylori菌の感染は胃がん以外の疾患リスクも高めます。例えば、感染者では慢性胃炎や萎縮性胃炎のリスクが高まり、これらが進行すると胃粘膜の防御機能が低下します。その結果、胃酸によるダメージが進み、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症リスクも上昇します。このように、H. pylori菌の感染は胃全体の健康リスクを高めるため、早期発見と除菌が重要です。

  1. H. pylori検査のメリット

pylori菌の感染を確認する検査方法は、非侵襲的なものから内視鏡を用いるものまで多岐にわたります。呼気テストや血液抗体検査、便中抗原検査などは、痛みや不快感が少なく、簡便に行える方法です。感染が疑われる場合、まずこれらの方法で短時間で感染の有無を確認できます。感染が確認された場合には、抗生物質とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を組み合わせた除菌治療が行われます。この治療法は約90%以上の確率でH. pylori菌を除去し、胃がんなどの関連疾患のリスクを低減します。

早期に検査を受けることで、将来的な医療費の削減にもつながります。慢性胃炎や胃潰瘍を放置すると、長期的な医療費が増加する可能性があるため、予防的な検査と治療により健康面だけでなく経済面でもメリットが期待できます。

  1. H. pylori検査が推奨される方

日本では、50歳以上の方や胃がんの家族歴がある方、消化器症状を抱えている方にH. pylori検査が特に推奨されています。また、家族や同居者にH. pylori感染者がいる場合や、過去に消化性潰瘍を経験したことがある方も、検査を受けることが望ましいとされています。これらの方々は感染リスクが高く、感染による健康リスクも大きいため、早期発見でリスクを最小限に抑えることが重要です。

結論  

pylori菌の感染有無を検査することは、胃がんをはじめとする消化器疾患の予防に非常に有効です。特に、胃がんの発症リスクが高い高齢者や消化器症状を持つ方にとって、H. pylori菌の検査と除菌治療は重要な予防手段となります。感染が胃の健康に与える影響は大きく、適切な検査と治療を行うことで、長期的な健康維持と医療費の削減に寄与することが期待されます。

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