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検診で便潜血陽性でした。大腸カメラ検査した方がいいのでしょうか?1回くらいとばしても大丈夫では?

健康診断や人間ドックなどで受けることの多い便潜血検査で、結果が「陽性」と出た場合、多くの方は「もしかして大腸がんかもしれない」「どうしたらいいのだろう」と不安を感じられることでしょう。しかし、便潜血検査で陽性が出たからといって、即座に重篤な病気が見つかるとは限りません。実際には、痔による出血や腸内の軽度の炎症、ポリープなど、比較的良性の要因で血液が混ざっている可能性もあるのです。ただし、この検査結果を軽視してしまうと、もし重大な疾患が隠れていた場合に早期発見の機会を逃してしまうことにも繋がります。そこで本稿では、便潜血陽性の意味や、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の必要性について、なるべくわかりやすく解説していきます。

◇ 便潜血陽性とはどのような状態か? 便潜血検査では、便の中に微量の血液が含まれているかどうかを確認します。大腸内や直腸内でわずかな出血があった場合、その血液が便に混ざって排出されるため、検査で「陽性」という結果が出るのです。血液が混ざる原因としては、大腸がんをはじめとする腫瘍性病変、ポリープ、痔、さらには腸内の炎症など多岐にわたります。もちろん、痔や一時的な炎症であれば深刻度は低いものの、検査だけでは原因を絞り込むことが難しいため、追加の検査が推奨されるわけです。

◇ 大腸カメラ(大腸内視鏡検査)の役割と重要性 大腸カメラとは、内視鏡と呼ばれる細長いカメラを肛門から挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。大腸や直腸の粘膜をモニターに映し出すことで、わずかな病変やポリープなども見逃さずにチェックできます。もしポリープが発見されれば、その場で切除や組織検査(生検)が可能です。大腸がんのリスクを減らすうえで、ポリープを早期に除去することは極めて有効とされています。また、万が一がんが疑われる病変が見つかった場合でも、すぐに生検を行い、正確な診断を下すことができる点が大きな利点です。

大腸がんは初期段階ではほとんど症状がなく、進行してから初めて血便や便通異常などの症状が出る場合が多いとされています。したがって、便潜血検査で陽性と判定された時点で早期に内視鏡検査を受けることは、大腸がんを見逃さないための極めて大切なステップです。早期に見つかれば治療の選択肢も増え、予後(治療後の経過)も良好になる可能性が高まります。

◇ 便潜血陽性と大腸がんリスク 便潜血陽性だからといって、必ずしも大腸がんが見つかるわけではありません。しかし、統計的に見れば、便潜血陽性の人の中には一定の割合で大腸ポリープや大腸がんが存在することがわかっています。大腸がんは多くの場合、ポリープという良性の腫瘍が時間をかけてがん化していくと考えられています。つまり、便潜血陽性をきっかけに大腸カメラを受けてポリープを見つけることができれば、がんに進行する前に取り除くことができるのです。この「早期発見・早期治療」こそが、大腸がんに対する最大の対策となります。

◇ 大腸カメラを受ける意義

ポリープの発見・切除 : 先述のとおり、ポリープががん化する前に取り除くことは、大腸がんのリスクを大幅に低減するうえで重要です。大腸内視鏡検査では、内視鏡に付属した器具を使ってポリープを切除し、そのまま検査に出すことが可能です。

炎症や痔など他の原因の確認 : 大腸カメラでは、大腸がん以外の炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)や痔の状態も観察できます。原因が良性のものであれば、それを確認することで安心感が得られるでしょう。

症状が出る前の段階での対策 : 大腸がんは進行速度が比較的ゆっくりではあるものの、気づかないまま放置すると治療が困難になることがあります。自覚症状が出てからでは手遅れになるケースもあるため、便潜血陽性を見落とさずに検査へ進むことが大切です。

◇ 「1回スキップしても問題ないのでは?」という考え方について 便潜血検査の結果が陽性でも、自覚症状がない場合、「今回は見送っても大丈夫かも」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、大腸がんは長い時間をかけて進行する疾患ですので、ほんの数年程度の先送りが早期発見の機会を失わせる可能性があります。とりわけ、便潜血検査で陽性が示されている段階であれば、早期に大腸カメラを受けることで、がんやポリープなどの病変を未然に防げるかもしれません。検査を一度でもスキップしてしまうと、その間に病変が進行し、気づいたときには手術や長期の治療が避けられなくなる恐れもあるのです。

◇ 結論:早期検査が何よりも大切 便潜血陽性が出た場合、次にすべきステップとして大腸カメラの受診は非常に重要です。大腸内視鏡検査によって大腸内部を直接観察し、必要に応じてポリープを切除したり、生検を行ったりすることは、大腸がんの早期発見・予防に直結します。初期の大腸がんや前がん段階(ポリープ)の段階で処置をすることで、患者さん自身が受ける負担も大きく軽減され、将来的なリスクも大幅に下がります。

「1回くらいはスキップしても大丈夫かもしれない」という気持ちも理解できますが、その1回がご自身の健康を左右しかねない大きな分かれ道になる可能性も否定できません。特に便潜血陽性という明確なサインがある場合、積極的に検査を受けることで、取り返しのつかない状態になる前に対策を講じることができます。

もし大腸カメラに対して不安や疑問があるときは、遠慮なく医師や看護師に相談してみてください。検査前の準備や検査当日の流れ、痛みに対する配慮など、クリニックや病院によっても違いがあります。納得のいく説明を受けることで、不安がやわらぐだけでなく、受診する意義をしっかり理解したうえで検査に臨むことができるでしょう。

以上のように、便潜血検査で陽性と判定された場合は、早めに医療機関を受診し、大腸カメラを含む追加の検査を受けることが大切です。大腸がんやその他の疾患を未然に防ぎ、健康な生活を続けるためにも、検査結果を真摯に受け止め、次のステップへ進むことを強くおすすめします。

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